骨が足りない方の
インプラント治療
BONE AUGMENTATION
インプラント治療は、天然歯に近い噛み心地と見た目を再現できる優れた治療ですが、患者さまのお口の状態によっては、そのままではインプラント治療ができない場合もあります。
歯周病によって顎骨が激しく破壊されている、または長年の入れ歯の使用で著しく顎骨がやせているなど、顎骨の量が少なくなっていると、インプラントを顎骨に埋め込んでも充分に固定することができません。そのため、医院によっては「インプラント治療はできない」と診断されることがあります。
当院では、『骨造成』とよばれる骨を増やす処置を行なうことができるため、骨量が足りないケースにおいても骨を増やしてインプラントを固定できるように治療が可能です。
骨造成の種類 SINUS LIFT / GBR
ソケットリフト法
骨の再生手術の一種で、お口の中から上顎洞(鼻の左右にある空洞)の底部を持ち上げてすき間を作り、骨移植や再生療法などで骨造成を誘導する治療方法です。上顎臼歯部にインプラントを埋め込む際、垂直的に十分な骨がないと、埋め込んだインプラントが上顎洞に突き出てしまうので、きちんと埋め込めるよう骨を増やします。
STEP01歯槽骨に穴をあける
歯槽骨(歯を支える骨)にドリルで穴をあけます。歯槽骨が1mm残った状態を維持します。
STEP02人工骨を入れる
この穴に棒を差し込み、棒をマレット(ハンマー状の器具)でたたくと、1mmの歯槽骨と上顎洞粘膜が持ち上がります(穴をあけて持ち上げるのでソケットリフトといいます)。そこに人工骨を入れ、次にインプラントのフィクスチャー(ネジ部)を埋め込みます。
STEP03人工の歯を入れる
フィクスチャーだけ入れた状態で3ヵ月ほど待ち、人工の歯を入れます。サイナスリフト(上顎の頬側からアプローチする方法)よりも体へのダメージが抑えられるので、腫れも痛みもほとんどありません。
サイナスリフト法
上顎の垂直的な骨量が足りないと、インプラントを埋め込んだ際に上顎洞とよばれる頬骨の裏側にある空洞の底を突き破ってしまいます。
サイナスリフト法は、上顎洞の底から上顎の歯槽骨の先端までの距離が3mm未満と、垂直的な骨量が著しく足りない場合に行なう骨造成です。上顎の頬側からアプローチする方法で、大幅に骨量を増やすことができます。
STEP01上顎の骨に穴をあける
上顎の頬側の歯肉を切開し、ちょうど上顎洞の側壁にあたる部分の骨に四角い穴をあけます。
STEP02上顎洞底部の粘膜を押し上げる
骨に開けた穴から器具を挿入し、シュナイダー膜とよばれる上顎洞底部の粘膜を押し上げてスペースを確保します。
STEP03人工骨などを詰め込む
できたスペースに人工骨や患者さまご自身の粉末状の骨を詰め込みます。
※インプラントを同時に埋め込む場合もあります。
STEP04縫合する
取り除いた骨片をもどし、歯肉を被せて縫合したら、骨が固まるまで数ヵ月待ちます。
※症例によっては骨が固まってからインプラントを埋め込みます。
GBR法(顎の骨を増大させる手術)
骨の厚みや幅が足りない場合、インプラントを埋め込んでもインプラントの一部が骨から露出してしまいます。この状態ではインプラントを充分に固定できないだけでなく、細菌感染のリスクも高まります。
GBR法(顎の骨を増大させる手術)は、メンブレンとよばれる人工膜と人工骨を使用して骨の再生を促す処置で、さまざまなタイプの骨量の足りない症例に適用できます。
STEP01インプラントを埋め込む
歯肉を切開し、歯を失った顎骨にインプラントを埋め込みます。骨量が足りない場合、インプラントの一部が骨から露出してしまいます。
STEP02人工骨を充填し、メンブレンで覆う
インプラントが露出している部分に人工骨を充填し、その上をメンブレンとよばれる特殊な人工膜で覆います。メンブレンで覆うことで歯肉などの軟組織組の侵入を防ぎながら骨の再生を促すことができます。
STEP03骨の再生を待つ
歯肉を縫合し、骨が再生されるまで数ヵ月待ちます。
症例によってはGBRにて骨を再生させてからインプラントを埋め込む場合もあります。
・機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
・インプラントの埋入にともない、外科手術が必要となります。
・高血圧症、心臓疾患、喘息、糖尿病、骨粗鬆症、腎臓や肝臓の機能障害などがある方は、治療を受けられないことがあります。
・手術後、痛みや腫れが現れることがありますが、ほとんどの場合1週間ほどで治ります。
・手術後、歯肉・舌・唇・頬の感覚が一時的に麻痺することがあります。また、顎・鼻腔・上顎洞(鼻腔の両側の空洞)の炎症、疼痛、組織治癒の遅延、顔面部の内出血が現れることがあります。
・手術後、薬剤の服用により眠気、めまい、吐き気副作用が現れることがあります。
・手術後、喫煙や飲酒をすると治療の妨げとなるので、1週間は控えてください。
・インプラントの耐用年数は、口腔内の環境(骨・歯肉の状態、噛み合わせ、歯磨きの技術、メンテナンスの受診頻度、喫煙の有無など)により異なります。
・毎日の清掃が不十分だった場合、インプラント周囲炎(歯肉の腫れや骨吸収など)を引き起こすことがあります。